元最高裁判所判事ベンジャミン・カードーゾは、「健全な精神を持つ全ての成人は、自分自身の体がどう取り扱われるか決定する権利がある。」と宣言しました。医療処置事前指示書は、自分の希望を伝えられないときに、自分のために医療判断をしてくれる人を選ぶ法的手段です。
遺言は、医療処置事前指示書の一つです。遺言は、自分の希望を言えないときのための、あなたへの処置または世話についてどんな希望も伝えられる書面による明確な指示です。「誰が私の処置を判断しようとも、これらの指示に従ってください!」と遺言で指示しておくのです。遺言自体は非常に限定的であり、通常は末期の場面でのみ適用されます。
医療処置委任状(別名医療処置代理または医療委任状)は、別の種類の事前指示書です。医療処置委任状では、あなたの健康に関わる判断をできる正当な権限を持つ代理人を選任します。あなたは代理人に対して、医療処置についての判断をする範囲を自由に決定できますので、判断は末期だけに限定されません。選任された代理人には、医学上のあらゆる状況及び条件並びにあなたの希望を考慮の上判断する権限が与えられます。医療処置委任状は、遺言よりももっと広範囲で応用が利きます。
遺言と医療処置委任状を一つの文書にまとめた包括的医療処置委任状を作成するように勧める弁護士もいます。そういった文書は、さらに、臓器提供や臓器受入の可否、どこでどういった医療を受けたいか等の希望も含めておけます。
将来の医療判断を計画する際に、自分の希望を書き込んで、それを家族と話し合っておくという一番大切なステップをないがしろにして、医療処置事前指示書を単に作成するだけでは何の意味もありません。医者、家族、それにあなたが話せなくなったときにあなたを代理をしてくれる人に、この医療処置事前指示書の計画段階からあなたの希望、心配、優先順位を伝えておくのが効果的です。何度も繰り返さなければならない作成プロセスを、継続的な話合いの場と考えて下さい。結局、あなたが年を取ったり、重病になったりして、希望が根本的に変わるかもしれません。たとえば、健康な35歳のあなたと慢性病を患っている85歳のあなたでは、末期状態についての考えはおそらく変わってくるでしょう。事前指示書は、人生の節目で変更の入る未完成物として考えるべきです。
生活の状況の変化によって優先順位や目標も変わりますので、医療処置事前指示書を家族や弁護士と定期的レビューしてください。いわゆる5Dのどれかが起こったときに、そういったレビューは特に大切です。
(2006年秋)
医療関係者は、どのような様式であっても、どこで文書を作成しても、通常あなたの希望を尊重するよう努めます。いくつもの州でかなりの時間を過ごしている場合だけは、それぞれの州毎の事前指示書の作成が必要です。そのような場合、あなたは1つの文書で各々の州の正式な基準を満たせるかどうか確認しなければなりません。実際問題として、1人の代理人が全ての場所に簡単に行けなければ、何人かの代理人を選任する必要があるかもしれません。通常、代理人は、医療現場に直に駆けつけられるほうがいいのです。
(2006年秋)
ほとんどの人々が知っているように、連邦政府は、メディケアと呼ばれている基本的健康介護保険のプログラムを老齢で障害をもった人に提供しています。現実的には、65歳以上の人なら誰でも資格のあるメディケアは、主に3つの部分から成っています。メディケアパートAは、病院やその他の施設(例えば、経験を要求される介護施設やホスピス)での、医療的介護を規定し、メディケアパートB(医療保険)は、医者のサービス、その他の様々なサービス及び医薬品について規定します。アルファベットをひとつとばして、処方薬の規定はメディケアパートDになります。パートDは2006年1月1日に施行され、2006年5月までに廃止される現行の暫定的な薬の割引プログラムと段階的に入れ替ります。もし高い処方薬代を負担しているなら、退職後のファイナンシャルプランの一部としてメディケアパートDにサインするべきかどうか弁護士に相談することを勧めます。
メディケアパートDに基づいて処方薬の保険を入手するため、メディケアの対象者は、メディケア処方薬保険の契約をする必要があります。いろいろな民間会社毎に種々の薬の保険があります。例えば健康保険または看護保険等です。保険毎に、政府によって策定されたガイドラインに沿って、異なる保険料、免責、共同保険や給付が設定されています。どの薬局が保険の対象となっているか、通信販売のオプションがあるかも検討すべきでしょう。標準的なメディケア保険の毎月の保険料は、およそ32ドルです。
この保険は、対象となる薬品を特別な薬品リスト(処方薬集と呼ばれます。)に限定しており、それは時宜に応じて変更されます。112種類の病気、怪我と障害の区分があり、薬の保険は全て、各々の区分で少なくとも2つの処方薬を対象としなければなりません。あなたが処方薬を飲んでいるなら、医者と相談しながら保険を比べ慎重に買い物をすれば、必要としている薬を見つけられるはずです。
メディケア対象者には、次の4つのオプションがあります。
メディケアパートAとBへの登録は簡単です。65歳以上の社会保険申請者は誰でも自動的にメディケアパートAとBに登録されますが、パートDは違います。自動的に登録されるのではなく、毎月の保険料を、保険者に対して直接支払う必要があります。つまり、メディケアの資格ができたときに、居住している場所で提供されているパートDの保険に登録しなければならないのです。
メディケアに現在加入しており、メディケアの薬の保険と同程度の薬の保険がなければ、パートDに早く登録しないと不利になります。最初の登録期間の後、登録しなかった期間につき、毎月1%が保険料に加算されます。つまり、メディケアの対象者であって、最初の登録期間を過ぎて6ヶ月間登録しないでいると、毎月の保険料は他の人に比べて常に6%多くなります。これが、期間内に登録させる強力なインセンティブとなっています。もし、別のところ(例えば退職者の健康保険)から同様の保険を受けていて、メディケアの薬の保険と同様の条件が保証されていれば、この割増金は適用されません。
パートDについては、契約している処方薬品保険の種類、地元のネットワークに参加している薬局から処方薬を受け取るのか通信販売で受け取るのか、対象となっている薬が処方集に掲載されているかによって、請求方法が異なります。薬局であなたはおそらく免責部分かその他の負担金を支払う必要があり、その後保険から薬局に支払いがなされるでしょう。
(2005年−2006年冬)
次のメディケアパートDの標準的な負担割合の表は、メディケアパートDが、通常どれくらい負担するか説明しています。但し、「新メディケアパートD」での説明のように保険毎に違いがあります。
| 年間薬品代 | 負担者と負担割合 |
|---|---|
| $250以下 | 保険:0% 被保険者:免責としての$250までの全額 |
| $251 - $2,250 | 保険:75% 被保険者:25% |
| $2,251 - $5,100 | 保険:0% 被保険者:100% |
| $5,100以上 | 保険:95% 被保険者:5% |
(2005年−2006年冬)